大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(う)1780号 判決

被告人 高井光男

〔抄 録〕

法令適用の誤の主張について

所論は、原判決は、原判示第一の酒酔い運転禁止違反の事実と原判示第二の業務上過失傷害の事実とにつき、刑法第五四条第一項後段を適用して、これを牽連犯として処断しているのであるが、両者は、同法条項前段の一個の行為で数個の罪名に触れる場合に当たるものと解すべきであるから、原判決には、この点において法令適用の誤があるというのである。

しかし、原判示第一の事実は、被告人が酒気を帯び、酒酔いの影響で正常な自動車運転ができないおそれのある状態で自動車の運転をしたというのであり、原判示第二の事実は、被告人が右自動車の運転中、右酒酔いのため注意力が散漫になり、前方注視が困難な状態になつたので、自動車の運転者としては、かかる状態のもとにおける運転の継続をやめ、交通事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるのに、かかる注意義務に違背して右の状態のままで自動車の運転を継続した過失により、自車を道路右側端に進出させて、歩行者に傷害を負わせたというのである。それゆえ、後者は、前者の状態よりもさらに進展したあらたな状態のもとにおいて、業務上過失傷害罪についての注意義務違反を論じているものであつて、前者の行為は、後者の過失の縁由とはなつても、その内容となるものではない。したがつて、右両者の罪は、むしろ牽連犯とした原判決の処断よりは被告人に不利な刑法第四五条前段の併合罪となるものであつて、所論のような観念的競合の関係にあるものではない。論旨は理由がない。

(吉田作 堀 金子)

(註 本件は量刑不当で破棄)

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